高卒認定に合格した後の進学には大学の他,短期大学や専門学校,海外留学などさまざまな道があります。もちろん就職も進路の一つです。特に近年の大学入試や専門学校の入試では,社会人選抜やAO 入試といった入試形式も増えてきました。
しかし,それぞれの進路によって,準備の中身やそれにかかる期間が変わります。いずれにせよ自分の進路は,高卒認定試験を受験する前の段階から考え始めるようにしましょう。
大学への進学
大学への進学を考えるとき,履修形態や入試方式などいくつかの異なる選択肢があります。
大学受験というと通常,一般入試をイメージすると思います。この入試は学科のペーパーテストにより学力を評価して入学者を選抜する試験になりますので,学校の推薦状等の特別な出願書類は必要ありません。もちろん高卒認定合格者は誰でも受験することができます。
国公立大学の受験にはセンター試験(1月の第3土曜・日曜に実施)と二次試験が課され,私立大学では各校ごとの試験(1月末〜3月)があります。
試験科目等は各大学によってそれぞれ独自に設定されていますので,入試要項等で確認してください。
また,私大でもセンター試験を利用するところがあるので,自分の志望校について事前に確認しておく必要があります。
ところで,大学へ進学する手段は一般入試だけではありません。学力ではなく「個性」の評価にウェートを置くAO入試や通常の受験生よりも年齢層の高い社会人入試など大学では,いろいろな間口を用意しています。
また,海外留学については,下記の記事で詳しく説明していますので,海外へ出て勉強したいと思っている人は,こちらも参考にしてみてください。
AO 入試とは?
AO 入試とは,大学の精神や教育方針,カリキュラムなどを理解し,「この大学で学びたい!」という強い意欲と,強い目的意識を持った受験生を,学力試験(筆記テスト)を用いず,大学独自の試験(エントリーシートの提出・小論文試験・面接試験などが一般的)で合否を決めるという入試方式です。
AO入試の特徴
AO は原則,専願を条件にしている大学が多い。
ただし,私大の中には併願を認めるところもあります。また同じ大学で一般入試など他の入試方式で併願できる場合があります。
AO は学科の成績を重視するのではなく,本人の大学での勉学に対する意欲を評価する試験である。
どの大学でも必ず書類選考と面接があります。しかし,学校によっては,それ以外に学科試験を課したり,面接で学力をみる諮問をしたりということもあります。高卒認定合格者は,高認の合格成績も評価されることがあります。
同じAO 入試でも大学によって方式が違う。
学校によってはAO の入試方式を何パターンも用意し,そのなかから自分にあった方式を選んで出願させる場合もあります。たとえば,面接での自己アピールを重視する方式など。
年数回の募集を行なう大学もある。
募集の早い大学では,6月頃からオープンキャンパスの参加者を募ります。
その他にもさまざまな特徴がありますが,大学によって選考方式の内容や評価のポイントは違いますので,気になる大学については,入試情報を詳しく調べ,実際にオープンキャンパスにも参加してみてください。
社会人入試とは?
社会人選抜の入試方式は,自己推薦方式と同様に提出書類と面接,課題小論文などで試験が行なわれます。試験自体の形式はAO 入試とあまり変わりありませんが,提出書類や小論文などの内容には社会人対象という特徴があります。
社会人入試の特徴
自己推薦書など事前に準備する提出書類がある。
社会人経験に関する内容を求められるケースが多くなります。
小論文試験を課す場合が多い。
社会人としての一般常識(社会問題などの時事テーマ)のレベルの課題が出題される傾向があります。
面接試験でも評価される。
社会人入試でもAOとお同様に面接試験があります。もちろん,AO入試とは面接の趣旨や方法が変わってきます。
受験資格として,一定年数以上の社会人経験を必要とする場合,年齢制限を設けてある場合(21歳以上など)があります。大学によっても違いますので,事前にきちんと確認しておきましょう!
「小論文・出願書類」ワンポイントアドバイス
AO や社会人入試では,必ずといっていいほど小論文の記述や出願書類の提出が求められます。ここでは,入試に向けてどんなことを準備する必要があるか簡単に紹介しておきましょう!
「小論文対策」
小論文は大学入試や就職試験などさまざまな選考試験で採用されていて,文章表現力をみる重要な選考資料になります。一般的な小論文の評価項目としては,次のようになります。
- 課題を正しくとらえているか。
- 知識や情報は正確で,十分か。
- 主題に沿って論旨は一貫しているか。
- 主張に論理性・創造性があるか。
- 説得力・意欲は十分か。
- 文章量は十分で,全体の印象は好感がもてるか。
- 語彙・表現力は十分か。
- 用字・用語・文法は適切で,誤字・脱字はないか。
< 事前の練習が大切!!>
日頃,文章を書くことが少ない人は,しっかり練習してください。その意味では,小論文の対策本も必要です。また,課題は大学によって傾向があるので,過去の出題などしっかり調べてみる必要があります。
「志望理由書の準備」
AO 入試や自己推薦タイプの入試では,ほとんどの場合,出願書類として志望理由書を作成することが求められます。志望理由書とは,自分が受験する大学や学部学科について志望する動機を文章で記述する書類です。
< 志望理由書を書く前の準備>
- 大学の情報収集・・・大学の入学案内やホームページをみて,大学に関するさまざまな情報・知識を入手しましょう。大学の理念やキャンパスの様子なども知っておいた方がよいでしょう。
- 自己分析・・・自分自身のことを上手に紹介するには, 性格や経歴に関するさまざまな自己分析が必要です。そして,それを文章で記述できるようにしておく必要があります。
「自己推薦書の内容」
自己推薦書は,自分の特長や経験,活動実績を書面でアピールするものです。内容や様式が大学・学部により異なる点は志望理由書と同様で,どれだけ自分の特長をアピールできるか,自分が大学の求める人材としていかに適しているかを書面で示すことが求められます。
< 自己推薦書の評価項目例>
- 活動性…これまで行なってきたこと(学内・学外)や,そこから得たこと
- 問題解決能力…自分の考えの表し方と実践力
- 社会性…知的好奇心や積極性があり,自分の将来に対するビジョンをしっかり持っていること
- 人間性…人間に対する関心度
大学進学のタイムスケジュール
- START■ 情報収集スタート
志望校が決まっていないないのなら、学習目的を明確にして、志望校選びから開始。社会人の場合、希望の内容が学べる大学・学部で、かつ社会人入試を実施しているところを選ぶと受験負担が少なくてすむ。また、仕事をしながら通うのであれば昼夜開講制や二部というように開講形態やキャンパスの場所もチェックしておくことが重要。
- 8月第1回高卒認定試験
- 9月■ 筆記試験対策スタート
筆記試験がある場合には、過去問題を公表しているかどうかを確認。公表していたら取り寄せ、試験科目や出題傾向を分析しよう。筆記試験の中で課されることが多いのが小論文。また、志望理由書の作成も開始する。
- 11月第2回高卒認定試験
■ 提出書類を準備志望大学が決まったら願書を取り寄せ、筆記試験対策や志望理由書の作成と並行して、提出書類の準備も行うこと。合格証明書や成績証明書など、揃えるのに意外と時間がかかるものもあるので注意しよう。
- 12月■ 面接の準備スタート
面接試験は一般に志望理由書をもとに行われるので、作成するときに志望理由や大学で学びたい内容、将来のビジョンなどを明確にしておこう。志望理由書の内容に関しては、どんな方向から質問されても答えられるよう準備しておくこと。また、可能であれば、家族や友たちに面接官になってもらい、本番を想定したシミュレーションをしてみるとよい。
- 7月~入試■ AO入試などのエントリー準備
志望理由書の作成&小論文対策が合格のポイント